トップページ>フリーライターの仕事手帖>「ダメな原稿」は、次の仕事が来ない原稿。
米光一成/ゲームデザイナー・フリーライター②
2010 / 02 / 03
今回はゲームデザイナーとして「ぷよぷよ」を制作するなど活躍されていた米光一成さんが、ライターとして執筆活動をするようになったきっかけから、米光さんが考える「いい原稿」「ダメな原稿」について伺いました。

――ゲームデザイナーであった、米光さんがなぜライターとして活動されるようになったのですか?
もともと書くことは好きだったんですよ。
学生時代には、雑誌の読者投稿欄などに短編小説・コント・短い怪談などを送って、原稿料をお小遣いにしていましたから。
ゲーム会社であるコンパイルに入社する際の面接で
「村上龍の『コインロッカーベイビーズ』のようなゲームを作りたい」
と言っていたくらいで、文章に対しての興味は強かったです。
実際に仕事として書くことになったのは、マガジンハウスで出版されていた雑誌『鳩よ!』の映画評が始まりです。
『鳩よ!』で「クリエイターは『ドラえもん』によって育てられた」という特集があって、インタビューを受けたんです。
インタビューを依頼されたきっかけは、ネット上で、ぼくがふざけてドラえもんの実写版脚本を書いていたのが目にとまったからだそうです。
で、そのインタビューの時に、話が脱線して好きな映画の話とかしたんですね。
しばらくして、その編集者から映画評をやらないかって依頼がきたんです。映画評のコーナーを書いていた松尾スズキさんが、同じ雑誌に小説を書くことになって、映画評は継続することが難しくなってしまった。
そのとき、ぼくが映画のことを嬉々として話してたのを思い出してくれて、「書いてみないかね?」という流れになったみたいです。
――もともと書くことは好きだったとはいえ、ゲームデザイナーと、ライターとでは違うことも多かったのではないですか?
核となる部分は一緒だと思っています。
プレイヤーにどう楽しんでもらうかって考えてゲームを作ることと、読者にどう楽しんでもらうかって考えて文章を書くことは、アウトプットが違っていても、核の部分は同じだと思います。
プレイヤーがゲーム世界に入り込んでキャラクターを動かすように、読者が文章の世界に入って気持ちを動かしてほしい。
ゲームは実際にボタンを押すのでアクションが分かりやすいけど、文章を読んでるときだって、見えないボタンを押してるはずなんです。そういったインタラクション(相互作用)のある文章を書きたいし、読みたい。
そのためには、読者の予想をちょっと超えるものを作らなきゃいけない。それは、書いている自分自身も、書くことによって、自分の枠から一歩外へ踏み出していく。自分の手札で書くんじゃなくて、新しい考えを生み出しながら書いていく。書くという体験が、新しい冒険のような文章を書きたいんです。
――米光さんがこれまでに執筆活動をされてきて考えた、「いい原稿」と「ダメな原稿」の定義は、何かありますか?
歌人の枡野浩一さんが「次の仕事が来なかった原稿は、ダメな原稿だ」っておっしゃってたんです。それが、印象に残っています。
次の仕事を依頼されるということは、少なくともその編集者が、読んで、行動してくれたってことだから。そういうふうに、読者を動かすことができる、もちろん実際の行動だけでなくても、気持ちや考え方を動かすって意味もふくめて、動かす力のあるのが、いい原稿だと思います。
プロフィール
『ぷよぷよ』『トレジャーハンターG』『BAROQUE』など多数のゲーム監督・企画・脚本を
手がける。ライターとしても幅広く活動しており、著書に『仕事を100倍楽しくする
プロジェクト攻略本』(KKベストセラーズ)などがある。立命館大学映像学部教授。
個人ブログこどものもうそうblog。西武池袋コミュニティカレッジ「読みのレッスン」の講師も務め、表現に繋げるための自由な読みを指導している。
米光一成さんのブログ こどものもうそうblog
米光一成さんの著作は・・・。
『仕事を100倍楽しくするプロジェクト攻略本』
KKベストセラーズ
定価1260円
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