トップページ>ライターになるために!>著者は、取材でいただいたものを読者に届けるまでが仕事なんだと思ってます。
山崎まゆみ / 温泉エッセイスト ③
2010 / 01 / 06
10年以上温泉についてライター活動をしてきた温泉エッセイストの山崎まゆみさん。
これまでの活動のなかで感じた醍醐味について、今回お話を伺いました。
――ライターとしての醍醐味は何ですか?
わたしが書いた本の感想などを、読者の方からお便りを頂いたときですね。
『ラバウル温泉遊撃隊』を出版したときには、実際にラバウルに出征されていた兵士の遺族の方から手紙をいただきました。
「父が話してくれなかった戦地ラバウルでの生活の様子がみえるようでした。仏壇の父と話ができたようで、すごくよかったです」という内容や「父のお墓に供えたいので、本にサインを書いて欲しい」とお便りを頂きました。
この本は、書評欄などに取り上げられたときも「情熱」「異色」と表されることが多かったのですが、読者からのお便りも本当に熱かったです。
おかげで、こちらが投げたものが読者に、ちゃんと届いたんだなぁって実感しました。
読者からの反応は、たとえ批判でもとてもありがたいものです。
『ラバウル温泉遊撃隊』は「墓場に持っていくくらいなら山崎さんに託すよ」と、取材相手の方に当時の様子を話していただいたんです。
ある種「遺言」のようにいただいた証言を、後世の人に伝えるための本ですし、それがわたしの仕事なんだと。
この本を通して、取材することとは色々な人の思いを受けること。
その思いを受けた以上は書き手として、いただいたものを読者に届けるまでが仕事だと考えるようになりました。
でも、私一人では本は作れません。
『ラバウル温泉遊撃隊』は、本当に熱心な情熱ある編集者に巡り会えて、書くことが出来ました。
また、新潮社の皆さんに本当にバックアップしてもらい本書が出来ました。
わたし一人の力では、とても・・・・・・。
だからこそ本書を一冊でも多くの人に読んでもらうために、自分ができることはすべてやるようにしました。
書店さんへも自分の本が出版された時には、必ずまわるようにしていますよ。
そうすると、書店さんとの人間関係ができてきて、応援してくださる様々な方のためにも、売れる本を書きたいと思うようになりました。
本が売れると、みんなが喜んでくれるんです。
――テレビやラジオに出られているのも、その一環ですか?
著者が少しでも知られているほうが、手にとってもらいやすいと思うからです。
わたしが少しでもメジャーになることで、書いて伝えたいことが、一人でも多くの人に伝えられたら読んでもらえたら、そんな気持ちです。
伝える手段の一つとして、効果的に自分を使っていけるようにしたいです。
けれどもいろいろな経験で、活字とはまた違いテレビやラジオでしか伝えられないこともあるんだと知り、今では、テレビやラジオもわたしにとっては大切な仕事です。
――講演活動も最近多くされていますよね。
こう見えて、人前にたったり目立ったりするのはあまり得意じゃないんですよ(笑)
本当はできるだけ表へ出ずに、ノンフィクションを書いていたいくらいです。
でも講演は、ダイレクトに参加者の方からの反応がわかるじゃないですか。
本や雑誌に書くことでは発信することしかできなくて、売上ぐらいしか明確な指標がありませんから。
そこで最近は、すすんで講演の仕事を受けるようにしています。
それに一般の方が、温泉のどんなところに興味があるかわかるんですよ。
自分の興味だけを追求していくと、どうしてもマニアックになりすぎてしまうんです。
社会と自分の興味を結びつけるものが、講演ですね。
そんなことをいっても現在も、社会の興味と自分の興味の接点を模索中で・・・・・・。
難しいものです。
プロフィール
新潟県長岡市生まれ。
日本だけでなく世界中の温泉をめぐり、現在21カ国750箇所以上の温泉を訪ね歩く。
「温泉での幸せな一期一会」をテーマに、テレビやラジオ、新聞、雑誌などでレポートしている。
近著には『ようこそ! 幸せの混浴温泉へ』(東京書籍)、『だから混浴はやめられない』『ラバウル温泉遊撃隊』(ともに新潮社)など。
また、国交省が任命する「YOKOSO!JAPAN大使」の一人である。
山崎まゆみさんオフィシャルサイト 山崎まゆみのいい湯だな
今回のお話しに登場した著作は・・・。
『ラバウル温泉遊撃隊』
新潮社
定価:1,470円
宣伝会議 編集・ライター養成講座では
山崎まゆみさんを講師にむかえ、
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日時:2月6日(土)14時~16時
詳細は、こちら からご確認ください。