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ライターになるために!

 

自分が読まなければ、読む人はそれだけ減ってしまう。

最相葉月 / ノンフィクションライター ④

 

ノンフィクションライターとして、作品を出し続けている最相葉月さん。今回は、ライターとしてやらなければならないこと、また本を出すことに対する覚悟についてお話しいただきました。

フリーライターの仕事手帖:最相葉月/ノンフィクションライター④

自分が読まなければ、読む人はそれだけ減ってしまう。

――ライターに専念されたきっかけは『絶対音感』で、小学館ノンフィクション大賞を受賞したことでしょうか?

そうですね。
幸いにして、それから仕事をいただくようになりました。


――受賞されるまでは、お金の面で苦労されていましたか?

苦労というか、なんというか......。
それまでは、六畳一間の木造アパートに住んでいましたけど受賞したことで、コンクリートの家に引っ越せましたから。

ただ、ノンフィクション大賞を受賞しても、その後も書き続けている人は、それほど多くないんです。
やはり、経済的な問題は大きいと思います。

サラリーマンで40歳くらいだと、1年間に500万円前後は稼げるじゃないですか。
ライターの場合、同様の収入を得ようとするなら、週刊誌で連載をもつ、または本を頻繁に出さなければいけないですから。

とはいえ、実際問題ノンフィクションは、毎年出せないですよ。
取材に時間がかかるし、お金もかかる。

こういった状況下でも、本当に書きたい。
このテーマでノンフィクションを一本書きたいというならば、アルバイトしてでもあるいは既に仕事をしている人ならそれをやりながらでも、やったほうがいいと思います。

そこまで自分自身を投入して形にする「執念」がないと、やっていけない世界だと思います。


――編集・ライター養成講座も、最近はライター志望の方が多くなっています。

書く場所が少なくなってきているのにね(笑)


――その講座で、女性がすごくがんばっているんですよ。

現役のライターでも、女性のほうがここぞというときの根性がありますね。

科学者の世界でも、最近は「この研究テーマで食べていけるのか」って気にする人がいますよ。
若い男性の中には。

でも本来、科学者って、今回書いた『ビヨンド・エジソン』で取り上げている人たちのように、真実を見極めたいという志をもって、研究をするわけじゃないですか。
それと、食べていけるかどうかということでは話の次元が違いすぎると思うんです。

ライターも同様で、仕事に対する価値観が違うと続けるのは難しいと思いますよ。


――「やりたい」という、気持ちが大事なんですね。

自分の作品を自分の名前で、公にしたい場合そのくらいの覚悟が必要だろうと思います。

ただ、ライターにも色々な仕事があって、女性誌から総合誌、フリーペーパー、ウェブマガジンなど媒体は多岐にわたりますし。
必ずしも作品にまとまらないからといって、ライターになれない、ということはないですよ。

得意なジャンルがあって、そこで秀でた仕事をされているライターもいますから。


――これからの「ライター」にとって、必要なことやっておかなければならないことはありますか?

自分が書きたいんだったら読まなきゃいけないですね。

だから、本を読む、新聞を読む、インターネットのブログを読むということも含めて。

自分が書く場所がなくなるということは、読む人がいなくなるということです。
自分が読まなくなったら、それだけ読む人が少なくなるわけですよ。
だから、これはすごく大事なことです。

わたしは、新聞は全国紙すべて購読しています。
それ以外にスポーツ紙、週刊誌、総合誌も読みます。

自分がいつそこで仕事するかわからないですから。

それに、自分たちがそこで仕事をしたいなら、きちんとお金を出して、新聞・雑誌・本は読む。
紙で読む。

もちろんデジタルも読めるわけですけど、紙に書こうとしているのに、それを読まないでどうするのだと。
たとえ休刊することになったとしても、同時代人としてその最後をちゃんと見届けたいとは思いませんか。

これは、最低限やらなければいけないことですよね。

他には、前にもいったように手紙が書けること。
たとえ、自分が20代だとしても取材相手は、50代60代、中には80代の方もいるかもしれない。
メールで全て解決できると思わない方がいいですよ。


――最近では、出版社の入社試験でも「手紙」を書かせるようですが、できない人が多いようです。

編集者もですが、ライターは、手紙を書けなければ始まりません。
ビジネスマンも、優秀な方は、みなさん手紙を書かれますよ。

「手紙に始まり、手紙に終わる」ということですね。

(続きます) 次回は12月16日更新予定


プロフィール

1963年生まれ。関西学院大学法学部卒業。
会社勤務、フリー編集者を経てノンフィクションライターに。
スポーツや音楽、教育、科学技術と人間の関係性をテーマに取材活動を行う。
主な著作に、『絶対音感』『青いバラ』
『東京大学応援部物語』『いのち 生命科学に言葉はあるか』
『星新一一〇〇一話をつくった人』など。
近刊に『ビヨンド・エジソン』がある。

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