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編集者になるために!

 

最終回 :独創的な写真を撮る

 

連載最後のテーマは独創的な写真を撮る秘訣です。これまでの復習と今後のステップアップを兼ねて、プロのフォトグラファーの撮影手法について紹介します。どこの領域からプロに撮影を依頼すべきか、判断する参考にもしてみてください。


様々な技術を駆使して

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 約10年前、オリンピックで金メダルを獲る前の北島康介選手を広告写真用に撮影しました。魚のように泳ぐ北島の美しい動きを、世界トップレベルの性能を誇る水着のイメージへと繋げる企画です。
 この撮影では北島選手と一緒にプールに入って、世界にも数少ない水中一眼レフフィルムカメラで撮影しています(ニコノスRS)。いままでに無いアングルから撮影することで、見る人に驚きを与えることを狙うため、水中から見上げる視点で撮影することに決めたのです。
 躍動的な写真を撮るために、そのほかにも様々な技術を駆使しています。第8回で触れたブレのコントロールと、第10回のレンズの選択も、それぞれそのうちのひとつです。

 右上の写真では北島の手はくっきり写っていますが、後方で波打つ水は流れているようにブレています。泳ぐ北島と商品である水着をピシッと写しつつも、水や呼吸の気泡の動きを出すために、シャッタースピードやストロボの光などを調整して撮影しているのです。ストロボを一瞬光らせることで、ブレ具合をコントロールしています。
 レンズは写真に迫力を出すことを計算して選びました。広角レンズには、第10回では触れなかった特徴がもうひとつあります。上段真ん中の写真では肩から頭にかけて湾曲しているのがわかりますか? 広角レンズで撮影した写真は周辺部分が湾曲するのです。左上の写真は湾曲がより強調される魚眼レンズで撮影しています。水面も建物も大きく曲がり、海のようにうねる水面とは対照的に北島が小さく写っています。

 次に構図について触れたいと思います。構図とは、写真のどの位置に何をどう配置するかといった、画面構成のことを指します。左下の写真ではラインを斜めに整えることでスピード感を出しました。波と天井からのライト、プールのライン分け、泳ぐ北島が全て同じ方向に流れているように見えます。
 上段真中の写真では、北島の頭が写真の外に切れてしまっています。これは敢えて小さくまとめないことで、いまにもこちら側に飛び込んできそうな勢いを作っているのです。

とにかく考えること

独創的な写真を撮るためには、とにかく考えることです。撮る前に考え、撮っているときも考える。撮影後も考えることはたくさんあります。例えば、写真のセレクト。誰にどのようなメッセージを伝えたいのかという視点から写真を選びます。写真の選択は、撮影中や撮影前の構想と同じぐらい重要な工程です。ついつい自分の好きな一枚を選んでしまいがちですが、必ず最終的な目的を念頭に置いて考えましょう。
 
 この連載の目的はカメラビギナーの編集者・ライターのみなさんに、撮影の基本的な技術とコツを掴んでもらうことでした。第1回から約半年が経過しましたが、撮影技術に変化は現われているでしょうか? 特に入門の段階では、撮った枚数がスキル向上に直結します。カメラを手に持って実践を重ねてください。みなさんからの嬉しい報告を期待しています。
 

(文・春日優子)


(半年間にわたりお読みいただいたみなさま、誠にありがとうございます。これまでの連載の感想は、こちらで受け付けております。ぜひお寄せください!
→henshu@sendenkaigi.co.jp)


善本喜一郎氏 プロフィール

善本喜一郎(よしもと・きいちろう)編集者・ライターのための連載写真講座
1960年東京都生まれ
フォトスタジオKiPSY代表
社団法人日本広告写真家協会常務理事
自身が代表を務めるフォトスタジオKiPSYには多くの著名人がポートレイト写真を撮りに訪れる。
また、2008年より宣伝会議 編集・ライター養成講座の写真担当講師も務める。

善本さんのフォトスタジオ
KiPSY HP http://www.kipsy.jp


最近の仕事
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写真1:ヱビス「Y列車で行こう! Vol.4日光線・烏山線の旅」

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写真2:「120年記念 匠ヱビス」の秘密

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