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第8回 :シャッタースピードによる効果 ~動きの表現を幅広く~

 

前回紹介した「7枚撮りエクササイズ」は試してくれましたか? 今回と次回は、適正露出とも関係の深い部分、カメラのメカニズムの要であるシャッタースピードと絞りについて解説します。まだの方はぜひ試してみてください。
さて、まずはシャッタースピードからです。シャッタースピードとは、シャッターが閉じる速度のことを指します。例えばシャッタースピードが1/125秒であれば、シャッターボタンを押してから実際にシャッターが閉じるまでの間に1/125秒が経過します。では、いったい何のためにシャッタースピードを調整するのでしょうか。その役割と表現方法について説明します。


光の量を調整と動きの表現

 シャッタースピードの役割は主に2つあります。1つ目は光の量の調節です。シャッタースピードの数字を変えることでカメラが取り込む光の量をコントロールします。シャッタースピードが速い場合、その分だけ光を撮り込む時間も少なくなりますし、遅い場合はその分だけシャッターが開いていることになるので、光を多めに撮り込むことができます。   
 光の量の調節は次回の「絞り」と密接に関係してきます。加えて、冒頭で触れたように適正露出とも関わってきますが、今回はこれまでに留めておきましょう。

 さて、もう1つです。2つ目の目的は動く被写体のぶれ具合をコントロールすることです。シャッタースピードを遅めに設定すると、シャッターが開いている間に被写体が動いた跡が写真に残ります。反対にシャッタースピードを速めにすると、動いている被写体もまるで静止しているかのように切り取られます。写真の目的に合わせて、どのように撮るかを決めましょう。


遅めのシャッタースピードによる表現

銀河鉄道.jpg
  宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』のモチーフになったといわれる、国道と宮守川をまたぐJR釜石線の橋梁「めがね橋」。ヱビスビールのウェブサイト用に、「鉄道の旅×ヱビスビール」を主題として撮影した1枚です。橋から飛び立っていく銀河鉄道がイメージできるでしょうか。目指すところは、シューッと闇の中へ走り去る列車の音が聞こえるような幻想的な絵です。シャッタースピードは1/30秒。存在を認識できる程度に車両の原型を留めつつ、適度にぶらすことで現実と空想世界の融合を表現しました。シャッタースピードを速くしすぎると現実感が強く出過ぎてしまい、遅くしすぎると列車はただの光の線になってしまいます。シャッタースピードのさじ加減がこの写真のポイントなのです。

止めて写す表現

千葉電車.jpg
 同じくヱビスビールのウェブサイト用に撮影した、内房線の1コマです。銀河鉄道の写真とは対照的に、電車を鮮明に切り取りました。青い空と海を背景に進む紺色の電車。主役の電車を同系色の中で埋もれさせないためには、車体がしっかりとわるようにパシッと写す必要があります。動く被写体をぶらすことなく撮影したければ、シャッタースピードは速めに設定するのでしたね。この写真のシャッタースピードは1/500秒です。

 シャッタースピードの違いを体感するには、実際に動いているものを異なる設定で撮ってみることが一番です。どのようなイメージを伝えたいのか思い描いてから、シャッタースピードを変えて何枚か撮ってみてください。電車が好きであれば、お気に入りの列車が走っているところでもよいでしょう。公園などの噴水も恰好の被写体です。シャッタースピードを変化させれば、水のかたちは変わります。どの写真がイメージしていた絵に近いか見比べてみましょう。経験を積むうちに、撮影環境と被写体の速度からどの程度のシャッタースピードで撮ればどのような写真になるかを読めるようになります。残念ながら、解説を読んだだけでは撮影技術は身につきません。実践あるのみです。是非カメラを手に、外に出てみてください。

(文・春日優子)




善本喜一郎氏 プロフィール

善本喜一郎(よしもと・きいちろう)編集者・ライターのための連載写真講座
1960年東京都生まれ
フォトスタジオKiPSY代表
社団法人日本広告写真家協会常務理事
自身が代表を務めるフォトスタジオKiPSYには多くの著名人がポートレイト写真を撮りに訪れる。
また、2008年より宣伝会議 編集・ライター養成講座の写真担当講師も務める。

善本さんのフォトスタジオ
KiPSY HP http://www.kipsy.jp


最近の仕事
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写真1:ヱビス「Y列車で行こう! Vol.4日光線・烏山線の旅」

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写真2:「120年記念 匠ヱビス」の秘密

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