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編集者になるために!

 

第7回 :適正露出で伝えたいイメージの再現を ~「7枚撮りエクササイズ」で上達への近道~

 

これまで5回にわたりシチュエーション毎に撮影のポイントを解説してきましたが、今回からはカメラのメカニズムについてです。カメラの仕組みとコントロールの仕方を把握していないと、写真が偶然の産物になってしまいます。思ったようにうまく撮れていないこともあれば、予想外にいい写真が撮れた、というのでは最終的な写真のクオリティーを維持することはできません。偶発性を味わう写真も楽しいものですが、編集者・ライターのみなさんは意図した写真を狙い通りに撮影する必要があります。その第一歩として、適正露出について理解できるようにしましょう。

①exposure_normal.jpg


適正露出とは伝えたいイメージを再現できる写真の明るさ

 全く同じ場所でも、朝の光で見た景色と夕日に照らし出された景色では全く違って見えますね。物の見え方は光の量と質によって変わります。この写真は富士フィルムのフォトキナ(※)用展示写真として撮影したイタリア・トスカーナ地方の小都市サン・ジャミニャーノに残っている中世の塔です。夏の朝の強い光に照らされています。
 さて、みなさんは下の写真でどれが一番いいと思いますか? 左の写真は、明るめに撮ることによって石を積み上げた塔の詳細までわかる様になっています。影の部分も何が写っているのか判別できる明るさです。逆に、右の写真は暗めに撮影して空の陰影をより印象的にしています。通常、明るめに撮ると色は淡くなり、暗めに撮影すると色は濃くなります。

※フォトキナ(世界の有力メーカーが画期的な新商品を発表する場として50年以上の歴史を持つ有名な映像関連総合見本市)

②exposure_sample_s.jpg左が明るめで塔がメイン。右が暗めで空を強調。真ん中は本番で使用した写真です。比較してみましょう。

 適正露出とは、伝えたいイメージを再現できる写真の明るさのことを指します。塔を見せたいのであれば左の露出、抜けた青空を伝えたいのであれば右の露出が適切なのです。つまり、何をどう見せたいかによって、どの程度の明るさにすべきなのかが決まってきます。露出は写真の出来を左右する重要な要素だけに、仕上がりをイメージして判断する必要があります。


「7枚撮りエクササイズ」を伝授

 最初は、見たままを写真で伝えられることを目指しましょう。被写体をよく見て下さい。カメラの露出計では明るい場所であれば暗めに、暗い場所であれば明るめに自動的に調整がかかり、往々にして目で見た状況とは異なる明るさの写真になりがちです。それを補正するために、カメラには露出補正用のボタン、又はダイアルが付いています。明るめに撮りたければプラス側に、暗めに調整したければマイナス側に補正しましょう。

 状況を見てどの程度補正するかを判断できるようになるには、明るさの段階が頭の中に入っていなければなりません。ここで「7枚撮りエクササイズ」をみなさんに伝授します。全く同じ写真を異なる露出で7枚ずつ撮影し、頭の中に露出補正の段階を叩き込むエクササイズです。やり方はいたって簡単。補正単位を1/2に設定して、補正無し、プラス補正0.5、1.0、1.5、マイナス補正0.5、1.0、1.5、の7枚セットを同じアングルで撮ります。これだけです。撮った写真を見ると、どれぐらい補正をすればどのような明るさの写真になるかがわかるはずです。露出の段階が理解できれば、撮影の際も瞬時に判断ができるようになります。そのうち、「自分はこのぐらいの明るさの写真が好きなんだな」といった好みもわかるようになってきます。


露出を操り自分のスタイルを

 目で見た明るさを再現することができるようになったら、次は自分なりのスタイルを写真に反映させてみましょう。「自分はこういった雰囲気の写真がいいと思う」という軸ができたら、思い定めた雰囲気を伝えるために露出を調整します。けれど、このとき、現実とあまりにかけ離れた写真にならないように注意が必要です。実物を見た人が違和感を察しない程度に個性を反映させることがプロの秘訣です。

 とにかくよく見ることと、撮る前に何をどう伝えたいのか考えることは撮影の鉄則です。撮ってみて「あれ、なんか違うな」と思ったら、すぐに露出補正をかけて撮り直してみてください。「7枚撮りエクササイズ」を続けていれば、撮る前からどの程度補正すべきかわかるようになりますよ。楽しみながら継続してみましょう。


(文・春日優子)




善本喜一郎氏 プロフィール

善本喜一郎(よしもと・きいちろう)編集者・ライターのための連載写真講座
1960年東京都生まれ
フォトスタジオKiPSY代表
社団法人日本広告写真家協会常務理事
自身が代表を務めるフォトスタジオKiPSYには多くの著名人がポートレイト写真を撮りに訪れる。
また、2008年より宣伝会議 編集・ライター養成講座の写真担当講師も務める。

善本さんのフォトスタジオ
KiPSY HP http://www.kipsy.jp


最近の仕事
work_1.jpg

写真1:ヱビス「Y列車で行こう! Vol.4日光線・烏山線の旅」

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写真2:「120年記念 匠ヱビス」の秘密

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