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編集者になるために!

 

第2回 : その人らしさを切り取るために! インタビュー写真でおさえるべき3つのポイント

 

取材先で編集者・ライターがインタビュイーの写真を撮る機会は多いものです。そんなとき、その人らしさが醸し出された一枚を撮るにはどうすれば良いのでしょうか? 今回のテーマは「インタビュー写真」です。

その人らしさを切り取るために!
インタビュー写真でおさえるべき3つのポイント

撮影以上の時間をかけてコミュニケーションを図る

編集者・ライターのための連載写真講座


 この写真は『BRUTUS』の時計特集で撮影したものです。彼はスイスの独立時計職人、フィリップ・デュフォー。時計全体からパーツの設計・制作・組み立て・最終仕上げまでの全行程をすべて一人でこなしています。そのため、制作本数は年間20本ほど。予約は先まで埋まっており、新作を買うことは難しいと言われています。そんな時計界の巨匠である彼ですが、とても気さくな人で、写真撮影にも協力的でした。

 インタビュイーのいい表情を撮る第一歩は、相手との信頼関係の構築です。撮影し始める前に、相手の話を聴くところから関係作りは始まります。身を乗り出すぐらい熱心に、興味を持って相手の話を聴く。会話を楽しみ、こちらが相手に関心を持っていることを示せば、相手もこちらに興味を持ってくれます。

 この取材では、ランチの時間が信頼関係の構築に充てられました。ジュネーブから車で1時間弱。職人たちの間で、時計の聖地と言われるジュウ渓谷に到着すると、フィリップ・デュフォー本人がホテルまで車で迎えに来てくれました。そして、地元の人が集まるビストロでランチ。現場に着いていきなり撮影、ではなく、撮影以上の時間をかけて取材対象者とコミュニケーションを図ります。そのことが、良い撮影環境を生むのです。デュフォーの方も、日本から来た我々を自分の工房に上げるに相応しいのか考えていたのかもしれませんね。

ふっと表情が変わる場所が撮るべき場所

 いい表情の写真を撮るための次なる一歩は、場所の選定です。人にはそれぞれ、その人らしさがでる場所があります。相手の表情を観察していると、ふっと表情が変わる場所、そこが撮るべき場所です。デュフォーは、時計の組み立てをする机の前で、一瞬でこの表情になりました。このとき、ポーズは指示していません。こちらから要求しなくても、細かい作業を必要とする時計職人然とした写真になったのです。 彼は私達と一緒にいる間、常にニコニコしていましたが、仕事では工房の中、たった一人で部品の歯車一つ一つから腕時計を作っています。孤独の中での作業の途中、ふと思案顔をしたようなこの写真は、この場所だから引き出せたのだと思います。


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 最後に、インタビュー写真の撮影にあたって、もうひとつ重要なポイントは、相手と向き合いながら、常に頭の片隅で最終的な誌面構成をイメージし、必要となる要素をおさえることです。例えば、この取材は時計特集なので、被写体に腕時計は必須です。後から選べるように、寄った写真・引きの写真も何枚か撮影しています。誌面では写真にバリエーションを出したほうが面白いのです。また、『BRUTUS』の時計特集という性質上、格好良さ、高級感も求められています。インタビュー写真では相手を観察し、一対一の関係性を作り上げつつ、同時に撮影している写真がどう使われるかを冷静に計算しなければなりません。編集者・ライターのみなさんは、それにプラスしてインタビュー自体もしなければならないので、慣れないうちはちょっと大変かもしれませんね。でも、いっぺんに全部をやるわけではないですし、取材自体がひとつのコミュニケーションと考えれば、基本的な流れは変わらないと言えるでしょう。

(文・春日優子)




善本喜一郎氏 プロフィール

善本喜一郎(よしもと・きいちろう)編集者・ライターのための連載写真講座
1960年東京都生まれ
フォトスタジオKiPSY代表
社団法人日本広告写真家協会正会員
自身が代表を務めるフォトスタジオKiPSYには多くの著名人がポートレイト写真を撮りに訪れる。
また、2008年より宣伝会議 編集・ライター養成講座の写真担当講師も務める。

善本さんのフォトスタジオ
KiPSY HP http://www.kipsy.jp


最近の仕事
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写真1:ヱビス「Y列車で行こう! Vol.4日光線・烏山線の旅」

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写真2:「120年記念 匠ヱビス」の秘密

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