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溝手順子/主婦の友社『mina(ミーナ)』編集長②
2010 / 02 / 03
2008年より『mina』編集長である溝手順子さん。編集長が考える紙メディアの今後や、編集長として気を遣っていることなどを今回は伺いました。
――さまざまな雑誌が休刊になっていますが、紙メディアの今後についてどう思いますか?
わたしがアナログな人間のせいか、紙メディアがなくなる危惧はしていないです。
紙の質感や雑誌が持つ一覧性はデジタルにはないものですし、デジタルはデジタルとして独自のものがあると思っています。
現在、『mina』の誌面が電子版として立ち読み形式で見られるようになっていますが、実はアクセスしてくる地域は日本だけではなく香港や台湾などの海外からも多いんですよ。
『mina』は、中国をはじめ香港や台湾でも発売しているので、その読者が日本版がどうなっているかを気にして見にきているようですね。
それより気になるのは、雑誌面そのままをウェブサイトなど画面で見せるだけでいいものなのかということです。
やはりウェブサイトに掲出するのであれば、デジタル用のレイアウトなりにしないとも感じています。
それに、紙にも得意不得意があるんですよ。
たとえば、ヘアサロン企画が顕著な例です。
以前はサロンに行くときに、してもらいたいヘアスタイルの写真をわざわざ切って、持って行ったじゃないですか。
ウェブと連動すれば携帯電話でパッと見せればいいだけですし、サイトによっては自分自身の顔写真と合成することもできますからね。
紙には紙の、デジタルにはデジタルの良さがあるので、この二つはまったく違うモノだと考えています。
――2008年より編集長となり、1年以上経ちましたが、やはり編集部員のころとは違いますか?
180度違いますね。
編集会議.comで楽天の三木谷浩史さんの本を紹介したように(「プロのおススメ本」参照)数値的な部分の意識も大きく変わりましたが、一番に感じたのは雑誌に関わる人の多さですかね。
もちろん今までも現場の編集者としてたくさんの人と接しましたが、編集長になるとそれまでのスタッフはもちろん、他部署やそのほかさまざまな方々とも付き合うことになりますから。
そうやって多くの人が携わっているからこそ、その人たちにどうすればきちんと自分自身の思いが伝わるのかを考えるようになりました。
編集長になった直後は、これからの『mina』はこうしていきたいと、きちんと時間をつくり部員に話して伝えることを重要視してきました。
今企業でもメールが発達しすぎてすぐ近くにいるにもかかわらず、メールでやりとりしてしまう人もいるじゃないですか。
でもコミュニケーションの基本は「話す」ことだと思っているので、そのことにはこだわりました。
編集長になってからは、常に『mina』のあるべき姿について考えています。
周囲から大小さまざまですが、質問をされることも非常に多くなりましたからね。
――編集部員に対して、接する際に気をつけていることなどありますか?
部員一人一人の長所と短所を見るようにしています。
原稿が得意な部員には、読み物ページを任せてより多くの文章を書かせたりしていますね。
まずは得意な部分を伸ばしたほうがいいと思うので、何が得意なのかを見極めるようにしています。
また、部員には「いつか編集長になりたい!」と思ってもらいたいとも思っています。
わたし自身も現場担当者だったときはそうでしたが、最近の編集者は編集長になることを目指している人が少ないように感じます。
せっかく編集者になったのだから、次のステップである編集長を目標にして欲しい。
編集長は、もちろん雑誌一冊分のすべての責任がかかるので大変なことも多いですが、雑誌に関連するさまざまな事を知ることができ新たな発見もありますよ。
それに、恥ずかしながらまだまだ雑誌に関して知らないことがまだまだあるんです。
印刷のこと、販売経路のこと、そのすべてが知りたくなりましたね。
だから、部員を連れて印刷工場に見学にも行く予定です。
自分がなってみて実感しましたが、編集長って苦しいこともたくさんあるけど、それ以上に充実していて楽しいんですよ。
プロフィール
広島県出身。
ソニー・マガジンズ『peewee』契約社員を経て、2001年主婦の友社に入社。
2001年の創刊から『mina』に携わり、2008年より編集長。
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溝手順子さんが編集長をつとめるのは・・・。
『mina(ミーナ)』 主婦の友社
定価:550円毎月20日発売
mina(ミーナ)公式サイト