紀伊國屋書店 洋書部 船橋麻美氏
おすすめの1冊

少年少女日本文学館
若草物語です
レヴェル1の中の傑作名作『若草物語』に登場する
父・マーチ氏の物語
2006年度のピュリツァー賞が発表になった。音楽、ジャーナリズム、文学、ドラマ、音楽の4つの部門において、その年で最も優れた業績を残した人物に与えられるピュリッツァー賞。今年の文学・フィクション部門の受賞作は『MARCH(マーチ)』(Geraldine Brooks著)。 これは、『Little Women (邦題「若草物語」』( Luisa May Alcott著)に登場するマーチ一家の父親を主人公とした物語である。
フィクション作品の登場人物を、別の作家が主人公として描くというのは珍しい試みではないだろうか。『若草物語』といえばメグ、ジョー、ベス、エイミーの四姉妹の成長を描いた名作であり、一家の父であるマーチ氏は戦地に赴いているためほとんど姿を見せることはない。彼の帰宅によって物語は終わり、ハッピーエンドを迎えるが、著者であるBrooksは、その帰宅した彼に戦争が与えた影響を思い、『マーチ』を執筆するに至ったそうだ。
『マーチ』は南北戦争に従軍したマーチ氏の体験を描いた作品で、彼が戦地で家族宛ての手紙を記すシーンから始まり、家族のもとへ帰るところで終わる。つまり『マーチ』と『若草物語』の両方を読めば、家族が離ればなれになり、そして再会するまでの両サイドの物語を知ることができるのである。
『若草物語』が著者Alcottの家族をモデルとした作品であるのと同様に、『マーチ』はAlcottの父をモデルとし、彼の自伝を参考にして書かれた作品だ。一言でフィクションといってしまうには惜しいほどリアルなこの物語を、ぜひ合わせて読んでみたい。
『マーチ』の著者の夫は同じく作家であり南北戦争マニアのため、今回の作品ではその蔵書にかなりお世話になったとか。著者は夫に、「邪魔だと文句ばかり言ってすまなかった」とコメントした。
henshukaigi | 2006年7月 4日 12:56
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