出版社に入る! 編集者になりたいあなたへ

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第2回

出版社に入る! 編集者になりたいあなたへ。編集の仕事をしてみたい、でもその実態は......?編集者を目指す学生さんからの疑問に、『働く、編集者』の著者であり、『週刊現代』前編集長・加藤晴之さんに答えてもらいました。

Q2
業界研究の本を読んだら、休刊誌続出、出版界の売上はマイナス成長と書いてあり、
不安になりました。でもやっぱり雑誌の仕事をやってみたい。
これからの時代、活躍できる編集者はどんな人だと思いますか。


A2
たしかに、このところ不景気なニュースばかりですね。

メディア業界も同様、いやそれ以上の大騒ぎになっているのかもしれません。
メディア自身が「新聞・テレビ複合不況」(『週刊ダイヤモンド』)なんていう大特集を組むなど、そうとう深刻に受けとめています。それもそのはず、つねに日本より一歩先をいくアメリカでは、『トリビューン』というマスメディアの老舗が倒産するなど、「休刊」「リストラ」「吸収」「レイオフ」の嵐が吹き荒れています。

インターネットが旧態依然とした経営を揺るがしているところに、金融経済の破綻が追い打ちをかけ、大不況が未曾有の大津波となってメディア界を襲っています。日本のメディアにこの大津波の衝撃が及ぶのも時間の問題でしょう。


「100年に一度の危機」という言葉を聞かない日はありませんが、ではいったい日本の100年前はどうだったのか? 19世紀末から20世紀初頭、アジアを蹂躙(じゅうりん)していた西洋近代国家の脅威にさらされた国家的危機を、薩摩・長州の下級武士など新しい勢力が、260年続いた徳川政権による幕藩体制を倒し、新政権を打ち立てて乗り越えました。

まさに100年に一度、いや蒙古襲来以来の大ピンチをチャンスに切り替えてわずか30年あまり後、超大国であったロシアを武力によって排除、18世紀以降浸食され続けたアジアの歴史を大転換するに至ります。

この大転換の主役たちは、西郷隆盛にしろ、伊藤博文にしろ、みんな若い。そして旧体制では、日の目を見なかった人々といっていいかもしれません。


大ピンチは大チャンス。しかしこの転換には、とてつもなく大きなエネルギーが必要です。そして、血のにじむような努力と勉強を重ねる。そんなことができるのは、悔しいけれど若い人たちしかいないでしょう。

いま、マスメディアを志望する人たちに必要、というか期待したいのは、

大ピンチを大チャンスにする「心・技・体」。
明治のヒーローたちが積極的に西洋の新しい技術や制度を導入したように、ITなど最新のテクノロジーを自由自在に使いこなして、旧態依然としたマスメディアに新風を吹き込んでほしいのはもちろんですが、

いちばん身につけてほしいのは、
ITやコンピュータがぜったいできないこと。
つまり、書籍や雑誌の編集現場でもはや絶滅危惧種といっていいほど少数派になってしまった、腕のいい編集者の職人仕事。

「和魂洋才」ならぬ「雑誌魂・IT才」とでもいえばいいのでしょうか。

最後にヒトコト。大ピンチが大チャンスなら、大チャンスは大ピンチ。
日露戦争の戦勝に沸いたわずか40年後、日本は戦争に敗れて、焦土と化したのですから。

(加藤 晴之)



編集者になるために何をすべきか。もっともっと知りたい!というあなたには、『働く、編集者』第2章「編集者を取り巻く環境は変化したか」がオススメです。いつの時代も変わらない編集者に求められるスキルについて書かれています。

第1回

出版社に入る! 編集者になりたいあなたへ。編集の仕事をしてみたい、でもその実態は......?編集者を目指す学生さんからの疑問に、『働く、編集者』の著者であり、『週刊現代』前編集長・加藤晴之さんに答えてもらいました。

Q1
これまでいろいろな局面で本に救われてきたので、
出版社に就職して本を作る側になりたいと思っています。
編集者に必要な資質には、どんなものがあるのでしょうか。
編集者を目指す人は、何をしたらいいでしょうか。


A1
みなさんは、「編集者」ときいてどんな人物をイメージしますか?

なかなか筆のすすまない大御所の作家の横で、
おそるおそる「先生、締め切りが迫っています」などと声をかける生真面目そうな勤め人、
あるいは、テレビドラマにもなった『働きマン』という漫画の主人公のように
週刊誌の現場で悪戦苦闘する独身女性......。

前者は、小説家の方々を担当する書籍編集者だし、
後者は、苛酷な環境のなかで日々、原稿をとったり取材活動をする雑誌編集者。
一冊丸ごと請け負う編集プロダクションで仕事をしている人もいる。

編集者は、会社や職場によって千差万別、
でも、僕がぜひこんな編集者と一緒に仕事をしたい、という人物像は共通しています。

一言で言えば人に好かれ人が好きな人。

なぜなら
編集者は人に会い、
人に仕事をお願いし、
その人とともにいい作品を仕上げ、
その作品をたくさんの人に届けるのが仕事です。

そのためになにをすべきか? 

答えは生前、作家の開高健さんが唱えていた「編集者マグナカルタ九章」に譲ります。
曰く、

一、読め。

二、耳をたてろ。

三、目を開いたまま眠れ。

四、右足で一歩一歩歩きつつ、左足で跳べ。

五、トラブルを歓迎しろ。

六、遊べ。

七、飲め。

八、抱け、抱かれろ。

九、森羅万象に多情多恨たれ。

補遺一つ。女に泣かされろ。

いかがですか? 編集者稼業をはじめて二十八年、たくさんの後悔と少しだけの安堵をもって、僕はいまこの言葉の重みを受けとめています。

(加藤 晴之)


編集者になるために何をすべきか。もっともっと知りたい!というあなたには、『働く、編集者』第1章「職業編集者とはなにか」がオススメです。編集者とライターの関係、「勝ち組」編集者と「負け組」編集者について書かれています。

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